屋内プール棟鉄部の防食設計:塩化物と結露のしくみ

2026-09-30 · 分類: Technical Knowledge

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鉄骨重防食塗装

屋内プール棟の鉄部防食とは、トラス、小屋組、吊り金物、機器・ダクト支持材を、「プール水から舞い上がる塩素系エアロゾル」「冷面での常時結露」「乾湿反復による塩類濃縮」という特殊な屋内大気から守る設計である。

TL;DR — プール棟はISO 12944でC4(結露常時部はC5)を基準にゾーニングし、エポキシ下塗り+MIO中塗り+アクリルPU上塗りで全乾Film Thickness240µm以上、プールサイド結露部は300µm以上。溶融亜鉛めっき材も304/316も素置きは不可、Application時は鉄部Temperatureを露点+3℃以上に保つ。

主要データと規格アンカー

  • 水質(GB 37488-2019):遊離塩素0.3〜1.0 mg/L、結合残塩素≤0.4 mg/L、水温23〜30℃、pH7.0〜7.8、尿素≤3.5 mg/L — 水質管理が館内塩素負荷を決める。
  • 空気側:給気は水温+1.1〜2.2℃(ASHRAE実務則2〜4°F)、換気回数4〜8回/h。除湿コイルは空気の露点以下で運転されないと結露が常態化する。
  • トリクロラミン(NCl₃)は0.5 mg/m³未満が指針。超過すると塗膜・金物・ステンレスへの酸化性負荷が急増する。
  • 規格実務:プール館のIndoor大気はISO 12944-2の例規に照らしC4で設計し、常時結露部はC5に格上げするのが通例。
  • Film Thickness設計:C4高耐久系は全乾Film Thickness240µm以上が目安。プールサイド結露鉄部は300〜360µm、再塗装困難部は厚膜エポキシまたはガラスフレーク障壁で補強する。
  • 破壊記録:316系ステンレス吊り棒の塩化物応力腐食割れ(SCC)によるプール棟屋根崩落が複数報告されている — 1985年スイス・ウスター(死者12名)、2001年オランダ、2003年フィンランド。

腐食のしくみ:塩化フィルム、結露、乾湿濃縮

塩素の発生源

水面蒸発が消毒副生成物(次亜塩素酸、クロラミン)を館内の空気へ運び、冷えた屋根・トラス・ダクト外殻へ沈降する。一般的な屋内粉塵腐食と違い、この堆積物は塩化物性で吸湿性が高く、面が露点に達した瞬間に伝導性電解液膜として再溶解する。

結露電解液と塩類濃縮

屋根・壁の内側は結露臨界で運転される。夜間冷却、排気不足、断熱欠損が水滴を生み、液膜が乾くたびに気孔・擦り傷・隙間に塩類が残る。局所塩化物濃度は空気計測値を大きく上回り、これが膨れと隙間腐食の実原因である。換気と水質是正が先、塗装は後。当社のスプレイパラメータ・塗り重ね間隔ガイドの環境ウィンドウを参照。

亜鉛の白錆とステンレスSCC

常時結露は亜鉛を白錆として消費するため、めっき支持材はデュプレックス防食が原則で、上塗り前は亜鉛界面処理が必須(溶融亜鉛めっき鋼の下地処理参照)。引張応力下の304/316は塩化液膜でSCC感受性が高く、吊り棒・ピンは保安部材 — スーパーデュプレックスへの切替か定期非破壊検査を制度化する。

ゾーニングと塗装系設計

3ゾーン、基準はC4

水面より上部と小屋組(C4高耐久、常時結露はC5)、機械室・ダクト支持(C4)、プールサイド基礎・埋込金物(C4、隙間管理)に区分し、層別Film Thickness配分はISO 12944Film Thickness配分法で行う。

下塗り・中塗り・上塗り

白錆消費を避けるため亜鉛フリー/ローシンクのエポキシ下地を優先し、MIOエポキシ中塗り+アクリルPU上塗り(全乾Film Thickness240〜300µm以上)を基本とする。アクセス困難・常時水膜部は厚膜エポキシまたはガラスフレーク厚膜で浸透経路を延長する。

Application環境ウィンドウ

Sa2½ブラストとアンカープロファイル確認が大前提。支配則は鉄部Temperature ≥ 露点+3℃ — 夏でも夜間の屋根は露点へ落ちる。塗り重ね間隔遵守、コンクリート接合部はアルカリ浸出を遮断(アルカリ遮断シーラー)。

営業中の改修塗装

休館できない場合、低臭・Low VOC上塗り材、区画マスキング、負圧集塵を用い、運営側の結合残塩素と除湿記録を先に求める — 水質要因を正さないと新塗膜でも膨れが再演する。

ゾーンと塗装系の対照

部位環境塗装系(例)全乾Film Thicknessチェック項目
小屋トラス・母屋・吊金物常時結露+クロラミン、保安上重要エポキシ+MIO+アクリルPU≥300µm露点ログ、吊棒のSCC探傷またはSD鋼へ
常時結露・接近困難部長時間の液膜厚膜エポキシ・ガラスフレーク障壁≥400µm気孔監査、再塗装性上塗り選定
機械室・ダクト支持材高湿・Temperatureサイクルエポキシ・デュプレックス≥240µmめっき材は白錆除去後に上塗り
プールサイド基礎・埋込金物飛沫・隙間・乾湿エポキシシーラー+弾性PU/モルタル≥350µm接合部アルカリ遮断、ボルト端シーリング

FAQ

屋内でも一般的なドライ環境設計でよいか?

不可。C1〜C2想定は塩化物沈降と再溶融を無視しており、2〜3年でチョーキングと斑点錆が現れる。C4基準、結露部は格上げが原則。

溶融亜鉛めっきだけで足りるか?

推奨しない。常時結露では亜鉛が白錆へ変わって速く消費され、重ね部で特に進みます。界面処理後のデュプレックス仕様とすること。

316の吊棒はSafetyか?

当然ではない。記録された屋根崩落は316系棒材のSCC例。保安吊りサポートはスーパーデュプレックス検討と定期点検体制を要する。

営業中に改修する上塗り材の選定は?

Low VOC・低臭PUとし、健全な既存塗膜を局所ケレン後に重ねる。結合残塩素と除湿記録を先に求め、原因除去を確認してからApplicationする。

点検周期は?

四半期に「三点検」:チョーキング・膨れ地点、吊金物と溶接部の錆、実測露点と設計値の差。GB 37488水質台帳(遊離・結合塩素、尿素)と突き合わせると、塗膜破壊より水質異常が先に兆候を出す。

Last updated: 2026-09-30 | 出典:GB 37488-2019、ISO 12944シリーズ、ASHRAE プール除湿実務、S3I プール棟ステンレス損傷記録。著:Kexin New Materials(広東)有限公司 / Kexin New Materials (Guangdong) Co., Ltd. 貿易条件はEXW/FOBのみ。

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